誌名について
黒いほうの吉田です。日和ってる場合ではないのです。
下手すると委託先の主幹の先輩に殴られるかもしれません。わったい。
や、けして中身はカスなんかではないです。
外側はかなり残念かもしれませんが、それは編集の責任ですごめんなさい。
…錯乱気味の前書きはさておき。
色んな人に読んでもらったところ、やっぱり名前に関する突込みが多いので、ちょっとそのことについて書きます。
ダガーというと、秋葉原の連続通り魔事件で使われた凶器ですね。
すっかり知名度を得てしまいました。
銃刀法も改正されるようですし、今や悪名高いダガーナイフです。
短歌でも、ダガー=秋葉原 の連関で詠まれた歌をいくつか見ました。
駅を出てしんしんと広場歩みくる†(ダガー)の群れのおそろし月夜 岡井隆
天国のありしところへ添へらるる参照符号ダガー七振り 雨谷忠彦
どちらも刃物としてのダガーナイフと、引用符号としての短剣符†‡とを重ねて詠み込んでいます。
記号のほうが十字というのも象徴的な意味合いを持たせやすいですね。
で、まあ誌名の話に戻って言い訳すると、事件より先でした、と。
別に時事ネタに不謹慎に乗っかったってわけじゃないのです。
井上と吉田恭大で最初に歌会を始めたのが3月で、その時に決めました。
名前の由来は、短歌と短剣を掛けたのです。
命名の際に念頭にあったのは寺山修司の言葉でした。
詩人にとって、言葉は凶器になることも出来る。私は言葉をジャックナイフのようにひらめかせて、人の胸の中をぐさりと一突きするくらいは朝めし前でなければならないな、と思った。
だが、同時に言葉は薬でなければならない。さまざまの心の傷手を癒すための薬に。
正直事件の後、誌名に過剰な意味が付帯してしまうのではないかと思い改名を考えたのですが、結局そのままいくことにしました。
世界と渡り合っていくために、短歌は果たして有効なのか。
短歌は武器や護身具や回復薬になり得るのか。
個人的にはそのようなことを考えつつdagger‡1号は目下製本中です。